WordPressの「ファイル」と「データベース」の違い

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プロフェッショナルなサイト運営のための完全解説

例えるなら「家の設計図」と「家具・家財道具」

WordPressサイトは、大きく分けて2つの全く異なる要素、「ファイル」と「データベース」から成り立っています。この2つの違いを、家を建てることに例えると非常に分かりやすくなります。

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ファイル = 家の設計図

家の構造、部屋の配置、壁の色などを決める、不変の「骨格」です。

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データベース = 家具・家財道具

ソファ、本棚の本、冷蔵庫の中身など、家の中で日々変化する「生活のデータ」です。

設計図がなければ家は建ちませんし、家具がなければ生活はできません。WordPressも、この両方が揃って初めて一つのサイトとして機能します。

1. ファイル(設計図)- サイトの骨格

サイトの見た目や機能を決める、物理的なファイル群です。これらはあなたのPCやサーバーのフォルダの中に、実際のファイルとして存在しています。

扱う道具:

Cursor/ターミナル (Git/GitHub)

役割:

サイトの構造を定義します。テーマ(見た目)、プラグイン(機能追加)、WordPress本体のプログラムなどがこれにあたります。

なぜGit/GitHubか:

Git/GitHubは、「壁の色を青から白に変えた」「窓を一つ追加した」といった、設計図への変更履歴を一行残らず完璧に記録するのが得意です。これにより、いつでも過去の状態に戻したり、どこが変更されたかを正確に確認できます。

具体的にどんなファイルがあるの?

あなたのdirectors-consoleフォルダの中にある、これらのファイルが全て「ファイル」です。

フォルダ/ファイル名 役割
/wp-admin/ WordPressの管理画面を動かすためのファイル群。
/wp-includes/ WordPressのコア機能を動かすためのファイル群。
/wp-content/ あなたがカスタマイズする部分が詰まった、最も重要なフォルダ。
/themes/ サイトの見た目を決めるテーマファイルが入っています。
style.css サイトのデザインを決めるCSSファイル。
functions.php テーマに独自の機能を追加するPHPファイル。
index.php トップページなどを表示するテンプレートファイル。
/plugins/ サイトに機能を追加するプラグインのファイル群。
/uploads/ あなたがアップロードした画像や動画ファイル。
wp-config.php データベースへの接続情報などが書かれた、超重要な設定ファイル。
.htaccess サーバーの動作を制御する設定ファイル。

2. データベース(家具)- サイトの中身

投稿、固定ページ、サイト設定など、日々変化するデータの集まりです。これらは単一のファイルとして存在するのではなく、MySQLというデータベース管理システムの中に、整理された表(テーブル)の形で保存されています。

扱う道具:

Localアプリ (Export/Import) / All-in-One WP Migration

役割:

サイトのコンテンツ(中身)を保存します。あなたが書いた文章や、サイトの設定値などがこれにあたります。

なぜExport/Importか:

家具を引っ越しする時、一つ一つの家具の配置を設計図に書き込むようなことはしませんよね。全ての家具を段ボール箱(`.zip`や`.wpress`ファイル)に丸ごと詰めて、一気にトラックで運ぶのが一番効率的です。Export/Importは、まさにこの「丸ごと引っ越し」を行うための、最も安全で確実な方法なのです。

具体的にどんなデータがあるの?

これらのデータは、local.sqlというファイルの中にSQL言語で記述され、バックアップされます。

データベースの保存場所(テーブル名) 役割
wp_posts あなたが書いた投稿固定ページの文章、タイトルなどが全てここに保存されます。
wp_users サイトのユーザー情報(ユーザー名、パスワード、メールアドレスなど)。
wp_options サイトの基本設定。「サイトのタイトル」や「パーマリンク設定」などがここに保存されます。
wp_comments サイトに投稿されたコメント
wp_postmeta 投稿や固定ページに紐づく追加情報(カスタムフィールドなど)。
wp_termmeta カテゴリーやタグに紐づく追加情報。

3. データ量の比率は? ファイル vs データベース

では、サイト全体の中で「ファイル(設計図)」と「データベース(家具)」のデータ量(重さ)の比率は、どのくらいなのでしょうか?これはサイトの種類によって全く変わってくるのが面白いところです。

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シナリオ1:シンプルなブログや会社のサイト

主にテキストベースの記事や固定ページで構成され、画像はそこまで多くないサイト。

ファイル 95%

解説: テーマやプラグインといった「ファイル」はたくさんありますが、記事のテキストデータが入る「データベース」は、ファイルサイズとしては非常に小さいです。

🖼️

シナリオ2:画像がメインの写真ギャラリーサイト

高画質の写真がたくさんアップロードされているサイト。

ファイル 99%

解説: この場合、「ファイル」の中の/uploads/フォルダ(写真の保管場所)が、他の全てを圧倒するほど巨大になります。データベースには、写真のタイトルなどの文字情報しか入っていないので、重さはごくわずかです。

🛒

シナリオ3:大規模なネットショップ(ECサイト)

何千もの商品、何万人もの顧客情報、そして過去の注文履歴が全てデータベースに保存されているサイト。

ファイル 70%
DB 30%

解説: このシナリオでは、「データベース」の重みが劇的に増します。商品・顧客・注文履歴といったビジネスの生命線となるデータがどんどん蓄積されるためです。それでも、商品画像などのファイルも多いため、まだファイルの方が重いことが多いです。

結論

ほとんどの場合、特に画像や動画を扱うサイトでは、ファイル(設計図)の方がデータ量としては圧倒的に大きくなります。しかし、重要度で言えば、どちらも100%重要です。設計図がなければサイトは表示されませんし、データベースがなければ中身が空っぽになってしまいます。

この2つの全く性質の違うものを、それぞれ最適な方法(GitとExport/Import)で管理する、というのが私たちが確立したプロの開発フローの核心なんですね。

この「ファイル」と「データベース」の役割分担を理解することで、なぜ私たちが2つの異なる方法で同期作業を行ったのか、その理由が明確になったかと思います。


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