2台のPCでWordPress開発環境を完璧に同期する手順
Local + GitHub を使ったプロフェッショナルな開発フロー
はじめに:基本の考え方
この開発環境は、2つの重要な要素を、それぞれ最適なツールで管理します。
1. ファイル(設計図)
テーマ、プラグイン、画像など、サイトの構造を決めるファイル群です。これらはGitとGitHubで、変更の履歴を追いながら正確に同期します。
2. データベース(データ)
投稿、固定ページ、サイト設定などのデータです。これはLocalのExport/Import機能を使って、サイトを丸ごと引っ越しさせることで同期します。
【最重要】常に「管理者として実行」
この手順を成功させる鍵は、Localとコードエディタ(Cursor/VS Code)を、必ずアイコンを右クリックして「管理者として実行」することです。これにより、PCの権限問題を回避できます。
ステップ1:初期設定(最初の1回だけ)
1-1. 必要なツールを準備する
まず、両方のPCに以下のツールをインストールします。
1-2.【基準PC】で「マスターサイト」を構築する
- どちらか一方のPCを「マスター」と決めます(例:ノートパソコン)。
- (管理者として実行した)Localで、`directors-console` という名前で新しい空のサイトを作成します。
- 作成したサイトに、「All-in-One WP Migration」プラグインを使い、本番サイトの`.wpress`ファイルをインポートします。
→ これで、全ての基準となる、正常に動くマスターサイトが完成しました。
1-3. GitHubに保管場所(リポジトリ)を作る
- ブラウザでGitHubにログインします。
- 「New repository」から、以下の設定でリポジトリを作成します。
- Repository name: `directors-console`
- Private: 必ず `Private` を選択
- → これで、あなた専用の非公開の保管場所が完成しました。
1-4.【基準PC】のファイルをGitHubへ送る
(管理者として実行した)Cursorでマスターサイトのフォルダを開き、ターミナルで以下のコマンドを1行ずつ順番に実行します。
# Gitの管理を開始
git init -b main
# あなたの情報をGitに登録(" "の中はあなた自身のものに書き換える)
git config --global user.name "あなたのGitHubユーザー名"
git config --global user.email "あなたのGitHubメールアドレス"
# GitHubの保管場所を登録(URLはあなた自身のものに書き換える)
git remote add origin https://github.com/あなたのユーザー名/directors-console.git
# 全てのファイルを選択
git add .
# 「最初の記録」として保存
git commit -m "Initial commit"
# GitHubへアップロード
git push -u origin main
ステップ2:2台目のPCへの完全な複製
2-1.【基準PCで】サイトを丸ごとエクスポートする
基準PCのLocalで、`directors-console`を右クリックし、「Export」を選択します。サイト全体が詰まったZIPファイルが作成されます。
2-2.【2台目のPCで】サイトを丸ごとインポートする
作成したZIPファイルを2台目のPCに移動し、(管理者として実行した)LocalにそのZIPファイルをドラッグ&ドロップします。サイト名が`directors-console`になっていることを確認してインポートを完了します。
2-3.【2台目のPCで】Git連携の最終確認
(管理者として実行した)Cursorで2台目のPCに作られたフォルダを開き、ターミナルで以下を実行します。
git status
→ 「Your branch is up to date with ‘origin/main’.」と表示されれば連携も完璧です。
ステップ3:日々の同期フロー
おめでとうございます!これからの日常的な開発は、このシンプルな流れを繰り返すだけです。
作業を始める時(例:デスクトップで)
別のPCでの作業を引き継ぐ時。Cursorのターミナルで以下を実行します。
git pull
→ GitHubから最新のファイルがダウンロードされます。
作業を終える時(例:デスクトップで)
今日の作業内容を保存し、別のPCに引き継げるようにする時。以下の3つのコマンドを順番に実行します。
# 1. 変更した全てのファイルを箱に詰める
git add .
# 2. 箱に「今日の作業内容」の送り状を貼る
git commit -m "ヘッダーのデザインを修正"
# 3. 宅配業者(GitHub)に渡して発送する
git push
付録:よく使うGitコマンド集
コマンド | 意味(宅配便の例え) | 説明 |
---|---|---|
`git pull` | 荷物を受け取る | GitHubから最新の変更をダウンロードし、手元のファイルを更新します。作業を始める前に必ず実行します。 |
`git add .` | 荷物を箱に詰める | 変更があった全てのファイル(`. `は全てという意味)を、次の記録(コミット)に含める対象として選択(ステージング)します。 |
`git commit -m “…”` | 送り状を貼る | 選択した変更内容に`”…”`というメッセージ(変更内容のメモ)を付けて、変更履歴として正式に記録します。 |
`git push` | 荷物を発送する | ローカルPCで記録した変更履歴を、GitHubにアップロードします。これで、もう一方のPCで`pull`できるようになります。 |
`git status` | 作業場の状態を確認 | 現在のフォルダ内で、どのファイルが変更されたか、記録待ちの変更はあるか、などを確認できます。困ったらまずこれを実行します。 |
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